大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島高等裁判所 昭和28年(う)230号 判決

而して昭和二十七年法律第二二〇号に依る改正前の自転車競技法第十四条第一号に規定する「第七条の規定に違反して勝者投票券を発売したり、又は之に類似の行為をなした者」とは同法が所定の自転車競走施行者に一定金額以下の勝者投票券を額面金額で売出すことを許容して居る第七条の規定に違反して所定の自転車競走施行者以外の者が勝者投票券を発売したり又は右勝者投票券発売と同じ仕組ではないが自転車競走に関して富籤の発売と同じ様な作用を営む行為をした者をいふものと解するところ、本件被告人等の所為は前記認定の如く、所定の自転車競走施行者が適法に発売する勝者投票券の購入、勝者投票の的中者に対する払戻金受領等の取次斡旋を為したに過ぎないものであつて、被告人等の右取次行為夫自体はその性質上勝者投票券の発売に該当しないのは勿論、富籤の発売と同じ作用を営むものでないから勝者投票券発売に類以する行為といふことは出来ない。しかも所論の様に右取次行為の相手方が不特定多数人であるとか、其の取次の手数料として一枚に付金十円を徴収したといふことは右結論を左右するに足る根拠とはならないし、又所謂車券代券なる書面を委託者に交付して居るが、之は原判決の認定する様に勝者投票券購入の受託及其の購入代金の受領を証明する書面であると共に勝者が的中した場合に払戻金を交付するに当つての引換証としての性質を有するものといふべきであるから、右代券を委託者に交付して居たことの故を以て勝者投票券発売類似の行為といふことも出来ない。

尚被告人等が競輪場に於て買受けた勝者投票券は現実に注文者に交付せず、又勝者的中者に対する払戻金を各取次所に於て直ちに支払つて居たことは所論の通りであるが、原判決認定の様に被告人等が現実に委託の趣旨に従い所定の勝者投票券を買受けて居り、又所定の自転車競走施行者から勝者的中者に対する払戻金を委託者に代り受領して居る以上之を以て右認定を覆す理由とすることも出来ない。被告人等の本件所為により被告人等に取次を依頼した客は自ら競走場に赴いて勝者投票券を購入したと同じ効果を収めることが出来るけれども之は取次行為の当然の結果といはなければならぬ。

併して本件の様な取次行為は種々の弊害を生ずるので、昭和二十七年法律第二二〇号は之を禁止することとしたものであつて、所論の様に右改正法律第十九条第二号は改正前の自転車競技法第十四条第一号の類似行為の趣旨を明確にしたものとは解せられない。

従て之と同趣旨の下に旧自転車競技法施行中の被告人等の本件所為に付て罪とならないものとした原判決は真に相当であつて、所論の様な法令の解釈適用を誤つた違法はない

論旨は総て採用出来ない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!